一昨年より甲状腺に液体が溜まり
もっこり膨らむというやっかいな病気にかかっている
溜まれば注射で液を抜くという治療をしているが
抜いてくれる老医師が毎回失敗するのである
私の液体は粘液で細い針では抜けず
大きな針でなければダメなのだ
それなのに毎回細い針を刺しては
「おたくのは粘っこいからこれじゃあかんなぁ」
とぶっとい注射でやり直す
痛い思いは一度でええんです
頼むからカルテに書いててぇな 爺さん
と心で叫ぶ
一度針が血管に当たり出血し凹むはずのもっこりが
治療前より大きくなったことがある
その時もその爺さん
「頑張り過ぎちゃったみたいやね
もう少し抜けると思ってたんやけど」
である
怒るでしかし
そして前回その溜まった血液が注射針に詰まり
2度針を刺したが2CCしか取れなかった
周囲の人間が口を揃えて
そんなとこ止めろ 専門の病院に行けと言うので
花隈にある甲状腺では有名な病院に行くことになった
担当の医師は若くて男前
男前のくせに勉強まで出来たんかい
と声が出そうになった
不条理を叩きつけられた
初日はレントゲン 超音波 血液 尿の検査
そして本日
液体を抜き
純度100%のアルコール液を注入する治療に決まった
あれ?あの爺さん
純度100%のアルコールなんてないから
アルコール治療はお勧めしないと言っていた
あるやん ここに
最先端の設備の中で
その男前の医師はいとも簡単に16CCを抜いた
もっこり膨らんでいた首があらすっきり
1年半のあの治療はなんやってん
初めからここでええやん
しかしあの病院は私が選んだのではない
診察に行った病院が専門の医師だからと
紹介してくれた医院なのだ
近所で便利のはずのその病院は
爺さんで時代遅れ(勉強不足とも言う)
と言うオチがついていた
次の治療は2ヵ月後
男前に会えるなら
片道390円の電車賃も安いもんである