玄関のチャイムが鳴り
「家庭を良くするお話を聞きにきませんか?」
とお誘いを受ける
あのう 
家庭を良くするとはどういう事でしょうか
と聞けば
「小西先生が素晴らしいお話をしてくださいます」
とおっしゃる
えっと 小西先生といきなりおっしゃられても
「皆さん素晴らしいとおっしゃられます
いいお話ですので ぜひ」
具体的にどういったお話を
その小西先生がされるんでしょうか?
「家庭を暗くするのも明るくするのも
全て主婦の力なんです
ご主人様が楽しいと感じられる家庭を作るお話です」
え?奴隷制度のお話ですか?
「は?ど 奴隷?」
ええ ご主人様と言う言葉が出ましたもので
「じゃぁ旦那様でいいですか?」
ですから奴隷制度のお話ですか?
それでしたら面白そうなのでお聞きしたいですが
「いえ そうではなくて
なんて言えばいいんですか?夫?」
意地の悪さでは人後に落ちまい
しかし
これを突っ込まずしてどうする
あのう 伺いますが
家庭の責任が全て女性にあると
本気でおっしゃっておられるのですか?
「はい それほど主婦の力が大きいと言う事です」
ですって
実に面白そうな話ではある
聞く価値はありそうだが
その小西先生とやらのお話に
いちいち突っ込みを入れて他の女性に迷惑をかける事
間違いあるまいと謙虚な私は考え
ノロウィルスをばら撒く可能性がありますのでと
丁重にお断りした
帰って来た連れ合いにこの話をすると
それ宗教でもなんでもええから
是非入ってくれへんやろか
頼むわ
と手を合わされた
この男の体がいつも青アザだらけなのは
剥き出しで看板まで書いてくれている地雷を
わざわざ踏みに行く
そんな思考回路から脱却しない所以である
この男は「学習」と言う事を知らない
やはりご主人様を調教するのは女の力しかないのか