皮肉なものである
無職24時間ヒマを持て余している私が
ずっと看病してきたガン末期の犬
昨日J.Tのライブを見る為に東京駅に着いた時
連れ合いから電話が入り
その犬が死んだと言われた
覚悟はしていたが
なんでわざわざ今日死ぬねん
昨日でも明日でも良かったのに
なんでよりによって私が東京に行った日を選ぶねん
しかも誰にも見取られずに死んでいたのである
9時半からのセカンドステージだけを見るつもりでいたが
早めに東京に着いた為に
7時からのファーストステージも見る事にしていた
死ぬことは分かっていた事
今更どうにも出来ない
そう自分に言い聞かせJ.Tのライブに酔った
2ステージとも一番前の席
私の1メートル前にJ.Tがいる
踊っている
唄っている
私を見て笑ってくれた
私を指さしサビを唄ってくれた
数時間前に犬が死んだ事を完全に忘れ
へらへらしているアホ面の私がいる
だらしなく開いた口からはヨダレも出ていたに違いない
客は皆複数で来ている中
知性のカケラもない醜い中年女がたった一人
ホラーでさえある
しかしその時私は幸せの絶頂にいた
翌日帰宅し死後硬直している犬を撫でて謝った
そして泣いた