好きな映画に「二十日鼠と人間」がある
小説を読んで映画を観るとがっかりするものが多い
想像していた人物と違ったり
監督の一人よがりで内容とかけ離れ過ぎていたりだ
この「二十日鼠と人間」は短編小説であり
内容を端折らず映像化出来たのも理由ではあるが
一番の理由はジョン・マルコビッチ
レニーと言う知恵遅れの青年の役を
想像していたそのままに演じた事である
違和感など微塵も感じる事なく
等身大のレニーとなって画面に現れた
黒人は隔離され年寄りは嫌われる
知恵遅れは馬鹿にされる
女は男の従属物であり
金持ちは威張る
身も蓋も無い非常に分かり易い小説である
何度読んでも泣いてしまう
同じく何度映画を観ても泣いてしまう
マルコビッチは変な顔だ 
あんな変な顔なのに色男役では本当にカッコ良くなる
極悪非道でも小心者でも普通の男でも何でも来いだ
そして特筆すべきは
彼が演ずる人物に全て感情移入出来てしまう事である
スターになるべくしてスターになった
正にそういうタイプの役者である