私は老け顔である
それも子供の頃から
小学生なのにバスを降りる時必ず
「ちゃんとお金入れてくださいよ!」と怒られた
10代にして早くも「奥さん」と呼ばれる
まだ学生であるにも関わらずだ
高校2年の時友人と東京に行きタクシーに乗った
その運転手は妙に馴れ馴れしく話しかけて来る
馬鹿な友人がわざわざ聞かなくてもいいのに
その運転手に「ねぇこのコいくつに見える?」と聞いたのだ
友人はちゃんと「このコ」と言ってるにも関わらず
その運転手は
「そうだねぇ 30歳くらいかな」と答えたのだ
救い難いバカで人でなしでこんこんちきのすっとこどっこいである
デリカシーの欠けらすら無く社交辞令は言わずもがな
豆腐の角で頭ぶつけて死ねばいいのにである
隣で友人はバカ笑い
「キャー 過去最高年齢ちゃうん」だとよ
はいはいそうですよ 老けてますよ 悪うございましたねですよ
そういった小さい頃からの素晴らしい環境のせいで
自分をわきまえることが自然に身についてしまっている
長い人生 振り返っても
私は「キャー」と発した事が無い
若い頃は恐いモノや苦手なものもそりゃありましたさ
しかしそういう事態に遭遇しても瞬時に
こんな顔してキャーと言うことは恐らく許してもらえない
と言う潜在意識が働くのである
こんな顔して黄色い声を出すのは犯罪に等しい
この3才児並みの脳にそうインプットされているのである
我ながら気の毒で可哀相で涙がこぼれる
しかし悪いことばかりではない
そういった苦い経験のお陰で今では何一つ恐いモノや苦手なモノがないのである
どんな事態に遭遇しても慌てない自信すらある
なるようにしかならんと静観出来るのだ
ゴキブリが恐いなんて笑っちゃうぜ
老け顔よ 有難う