バリ島に行って来た
飛行機に乗って暫くすると体がむくみ出した
ホテルに着いた頃から体中が痒くなる
全身にじんましんが出ていた
むくみは止まることなく象のような足となり
鏡に映る姿は赤く腫れ上がった関取であった
異常なむくみで靴も入らない
時計もはめられない
掻き過ぎて血みどろ
連れ合いが
日頃の行いがこういう時に出るんやなぁと言う
3泊の滞在中この体であった
最悪とはこういう事を言う
男前の王子が魔法をかけられて野獣となる
まさにそれやねと言うと無視をされた
バリ島の日本語普及には驚かされる
まるでハワイだ
物売りの女性がTシャツを頭に乗せて
「5枚千円やろ」
やろて
2年前のテロで失業率が5割り増しとなり
いい年をした男が昼間からごろごろしている
観光だけが頼みの綱の島では
テロの威力はまことに強烈である
物売り攻勢が半端じゃない
歩いている間中謝りながら断り続け
へとへとになる
中年のオヤジが何処から来たと尋ねる
大阪だと答えると
もうかりまっかと言う
誰やねん こんなベタな言葉を教えるんは
北海道だと言えばなんと言うのだろうか
そして彼は
私が行こうとすると
別れは会うの始まりと言った
立ち去ろうと思ったが
逆であるとの説明をしてしまった
おっちゃんは空港まで車を出すから乗らないか
と言った
彼はわざと間違えてるんである
こうして手練手管の限りを尽くし
テロ後の厳しい現実を生き抜いているのだ
物乞いもそこかしこにいる
赤ん坊を抱き
子どもに金をせびりに行かす母親がいる
3歳程度の男の子が何処までも付いて来る
ゆるゆるの日本人が観光するには
何だか居心地が悪い
貧乏では人後に落ちぬ自信があった夫婦が
肩身の狭くなる旅行であった