約束の10時の10分前にエレベーターを降りると
そこに関空で私を「彼女を激しく攻撃して」と言った
旅行会社の男性が待っていた
上司の命令であろう 気の毒である
案内された部屋には添乗員2名 関空に来ていた男性職員
海外仕入れセンター課長 そして添乗員の直接の上司が
立って待ち受けていた
室長が応対するとの話であったが課長に代わっている
その訳は数分後に悟った
物腰低く 非常にスマートな標準語 男前 上品
私の発言を徹底的に肯定し いちいち仰る通りですと頷く
決して無駄な事は言わない 発言は非常に謙虚
私の方が間違っているのではないかと思わす程に低姿勢である
正にクレーマー処理のエキスパートである
二人の添乗員は旅行会社の専属の添乗員ではなく
派遣会社からの添乗員であることを説明された
彼女達の上司 
これがまたエキスパート課長とは正反対のバカ男である
我々にこの旅行会社の素晴らしさを語るのである
我々は何社も添乗員を派遣しているが
こういう出来事で関空から社員が上海まで出向く旅行会社は
こちらを措いて他にありませんと
利害関係をさらけ出す
私が「その事に私たちが感謝しろとでも?」
と聞けば即座に課長がバカ男を制止し
「とんでもございません 当たり前の事です」と答える
怒鳴りつけるのとなだめるのがセットになっている
刑事ドラマを見ている様であった
あんたらもしかして組んでる?
またこのバカ男は我が社の添乗員教育は専門の講師を雇い
常に授業を受けさせている
そういうシステムを自負しておりますとのたまった
「自負は他でやって頂けませんか?」
と私が言えば即座に「仰る通りです」と課長
ナイスコンビ!
彼らの説明はこうである
ネームチェンジの出来ない航空会社はカタール航空が初めてで
それ以外の航空会社は皆ネームチェンジが出来る
カタール航空も当然出来ると思っていた
そして上海行きの飛行機はツアー客44人を乗せるのが精一杯で
添乗員の席は一席も残っていないと告げられた
関空行きの飛行機を1時間近く遅らせてまで彼女は交渉したが
カタール航空は拒否した
ドーハから日本行きは週に4便しかなく
これに乗らなければ彼女はドーハ泊となってしまう
仕方なく彼女の関空行きを会社が指示し
時間が無く関空行きとなった事をカタール航空の職員に
残った44人に知らせてくれるよう頼み搭乗した
しかしカタール航空の職員はそれをしなかった
また上海空港に措いては
トランジット客は降りた場所からそのまま
トランジットの部屋に直行出来ていた為に
職員が案内してくれるものと思い込んでいた
しかし上海空港が新しくなりシステムが変わり
トランジット対応が無くなり全ての客は
入国審査カード 検疫審査カード 出国カードの記入の義務
となっていた
それを我々は知らなかった
また関空から出向いた職員は飛行機の都合で
皆様より1時間後に到着した
と言う訳である
今後はこの様なことが無い様に
お客様に安心して頂ける様に一層の努力をするとの事である
もう突っ込み放題の言い訳である
ファクター毎に突っ込むが
エキスパート課長はその都度「仰る通りです」
そして全員が立ち「言葉足らずでした」と頭を下げる
素晴らしいチームワークではないか
全員が同時に立ち上がるその姿に
思わず拍手をしそうになった程である
同行した夫婦の条件は
上海行きの客にお詫びの手紙を送る際
私たちの抗議が正当なものであったと書き添えて欲しいであった
それはその場で「わかりました」と快諾された
私は言葉足らずで済まされては堪らない
これはどう説明して頂いても結果として職場放棄以外の何者でもない
上海に降り立つ迄
私は同じグループの全員と仲良く楽しくやってこれた
このツアーを心の底から楽しんだ
感謝こそすれど文句など何一つ無かった
本来なら関空
「皆さんさようなら お元気で」に着地するはずであった
それが結果は内紛であり 私はトラブルメーカーであり
蔑みの対象となった
まるで「蝿の王」そのものである
彼らの記憶に私は「サイテーの女」と記憶されるであろう
貴方方の「言葉足らず」のお陰で
これは余りに不条理である
そう言った時 件の添乗員が
「私もあれ程皆さんと楽しそうに過ごされていた○○さんが
そういう目に合われた事を思うと言葉も出ない
関空で○○さんにどういう事かと言われた事が何よりもショックであり
泣きたかった」と泣き出したのである
泣かれてもなぁ
また信頼して申し込む客に対し
旅行会社とはこういうものであるといった認識を持ってもらう為にも
新聞にこのツアーの広告を出した同じスペース
見開き4分の1を使って
この度の不始末に措ける謝罪文を掲載して頂きたいと言った
100戦練磨の課長は
その件に関しましては私の一存では答えかねますので
本社に戻り相談の上 ご連絡させて頂きたいと思いますと答える
さてどうなりますやら