過去に一度だけ仲人と言うモノをやったことがある
そんなことを我々夫婦に頼む物好きも世の中には存在するのだ
その物好きは二人とも私の職場の後輩であった
お互いの家にしょっ中泊まりに行く程中が良かった
その最初で最後であろう仲人をした夫婦が離婚したのである
それも協議離婚では済まず調停に迄持ち込んだもめにもめた離婚
やはり選んだ仲人が悪かったのか
別居だけのハズが離婚に迄なってしまったのは間違い無く私のせいである
ダンナの母親からの電話で息子がしばらく世話になると帰って来た
聞いても詳しく話してくれない 何とかしてくれと言われ
我々はヨメに会いに行ったのである
夫婦仲が冷めて来たからしばらく別居する事になったと言う
会話も全く無いし一緒に居ても意味がない
お互いゆっくり考えたいとの事であった
ダンナが会社のコと浮気しているのも許せないと言った
別居でリフレッシュもいいかもねと話しが終わりに近付いたと思った頃
彼女の携帯が鳴った
別室に行った彼女を見届けた娘二人が
「あの電話 男からよ」と爆弾発言
「ママは浮気してるの ママの会社の人
私達ママのメールのチェックしてて全部知ってる
気持ちの悪い事書き合ってるの ハートマークとか付けてね
お財布の中からホテルの領収書も見付けたし 冷え切ったパパとママなのに
コンドームの数が減ってるの 私達数えてるの
あんな事してるくせにパパの悪口言うなんて信じられない」
我々は腰を抜かした
娘二人はスパイだったのだ
ママはあんた達が知ってる事を知らんのかと聞けばそうだと頷く
そしてパパが可哀相だと泣き出した
「私は家の中では魂を抜いてるの
朝学校へ行く時に玄関を出ると魂を入れるの 私が楽しいのは学校にいる時だけ
小さい時からいい子にしてるとママのヒスが起きない事を知ってるからね」
もう我々夫婦の口は開いたまんまである
いつ会っても楽しそうやったやんかいな あんた達家族と言うと
「そういう風に私達が演技してただけ
ママの前では私達いつも仮面被ってたし そうする事が当たり前になってる」
娘二人は天才子役でもあったのだ
あんなママと離婚してパパを自由にさせてあげたいと泣くわ泣くわ
この事ママに言ってもいいかと聞けば二人でいいと言った
電話が終わり彼女が戻って来た
2階に上がっててと子供達を追っ払い
ダンナの浮気も気になるけど貴方にはそんな感じの人はおらんのけと聞くと
「そんな人いる訳ないでしょ 有り得ませんよ私の生活に」ときっぱり
実は言いにくいんだけど・・・と先ほどの子供達の話しを辛いが話した
突然顔色が変わると言うのは本当に起こり得るのだ
瞳孔も開いたまま 顔色は真っ青である
そして狂った様に泣き出した
そしてもうこの事を知っている子供達と一緒に暮らせない
離婚しかないと急転直下である
そ そんな離婚せんでも別居でええやん ゆっくり考えるんとちゃうんかいな
となだめても無駄であった
協議離婚で済まなかった理由は当たり前だがお金である
そして彼女の怒りの矛先は私となった
彼女の父親からもののしりを受け お家断絶されてしまった
割りが合わんとは正にこの事であるが
私が口を挟むとロクな事がない 情けないが事実である
しかしあれ以外に方法があったんかいなとも思う
結果が最悪となったと言う事はやはり間違っていたのか
今 子供達は父親と三人仲良く暮らしている 
非常に平和だそうだ