随分昔の話だがウチのすぐ近くのマンションでドラマのロケがあった
火サスとか土ワイといった2時間ドラマである
鶴見辰吾がマンションの2階から「じゃぁね」と言い
マンションの玄関から出てきた吉川十和子が2階を見上げ手を振り歩いて行く
たったそれだけのシーンの為になぜこんな所にと不思議だった
カメラやライトの並ぶ横で私は見ていたが
マンションのドアを明けて出てきた吉川十和子に腰を抜かしそうになった
ここに並んで見物している我々とは完全に種類の違う生き物であった
なんじゃこりゃである
すぐ目の前にいるのは人間じゃない
動いて喋るお人形さんだ
肛門なんか付いてたらおかしいで その体
真っ白の小さな顔にはみ出しそうな大きな目キューティクルてんこ盛りの髪
完全な8頭身に滅茶苦茶細い手足である
あんな姿じゃどこにいたって浮きまくるだろう
周囲の人間も扱いに困るだろうと余計な心配をしてしまう程である
カメラマンに合せて私も後ろに下がった時に「ガサッ」と足元で音がした
私の足がライトにかぶせる色のついたセロファンを踏んづけた音だ
その瞬間「カーーーーーーット」と大声がした
私のせいで彼女はもう一度2階まで上ってやり直しとなったのである
申し訳ありませんでした
その後対談番組で見た気の利いた事を何一つ言えない
彼女の話術のあまりのレベルの低さにも
気の毒な位ヘタな演技にも驚くことはなかった
あんな風に生まれて来ただけで奇跡に近い事である
それ以上要求する方が間違っているのだと
現在彼女は君島某と結婚しカリスマ主婦として世の奥様方の憧れだそうだ
宇宙人と結婚した君島某はこれまた別の意味で宇宙人みたいに気持ちが悪い男である